語学参考書ミシュラン

ポリグロット外国語研究所が世に溢れる語学参考書を評価し、良書をご紹介します!

今回は、高校生、大学生、新社会人の方に特に一読をお勧めしたい本を2冊紹介します。

塩野七生『生き方の演習 ―若者たちへ―』(朝日出版社・2010年)
これは彼女の講演内容をまとめた本のようです。
割合薄くて活字も大きく、寝っころがって1時間もあれば読めてしまう本ですが、
語学に限らずこれからどうやって生きていくか悩んでいる若者たちには
多くの示唆に富んだ本だと思います。

全体としては人生全般について書かれているのですが、
そこはイタリア語の達人の彼女、語学に関してはいいことを言っています。曰く、
  *外国語は道具として勉強するほうがよい
  *母国語がきちんと話せることが大切
私個人としては、次の項目が特に同感できました。
  *選択肢を多くもてない日本人
  *多くの人間は、見たいと欲する現実しか見ていない
  *教養を身に着けると、いろいろな見方ができる
  *刺激をいっぱい受ければ独創性が生まれる
とても読みやすい本なので、面白そうと思ったら手にとってみてください。


渡部昇一「学ぶためのヒント」(祥伝社黄金文庫425・2000年)
私が尊敬する学者のひとり、渡部先生の実にオーソドックスな学生向け手引き。
いまどきこれほどまっとうに真正面から学問人生を語るという方は
ある意味貴重に思えます。単に学習のあり方にとどまらず、
人生のあり方を記した教えの著ですが、後半の4,5章は語学(英語)学習法
について記されています。
この部分を読むと、最近の文科省主導による英語教育の弊害がよくわかります。
今の英語学習法に疑問を持っている方はぜひ読んでほしいところです。
特に、4章の次の項目は必読です。
  *英語学習の二面性を知ろう
  *実用と教養の二面性を認識しよう
  *辞書を引く楽しみーそこにはドラマがある
また3章の「国際人とはどういう人か」もぜひ読んで欲しいところです。

私の恩師、森田貞雄先生がもう半世紀前に入門書を書かれています。

森田貞雄「デンマーク語文法入門」(大学書林)1964年刊

今でも使えないことはないですが(個人的には、少し乱暴で、説明が面白いので嫌いではありません)、さすがに古くなっているので、同じサイズの本として、昨年手ごろな本が出ました。(森田本が出てからほぼ半世紀ですか、感慨深いですね)

下宮忠雄「デンマーク語」(近代文藝社新書) 2013年刊

上記2冊は、デンマーク語の文法を一気に学び、
とりあえず論文でも解読しようという方には充分なのですが、
もう少し、ドリルもやりながらじっくり丹念に学びたい
(特に、将来現地に行って会話の真似事でもしたい)という方には、下記がイチオシです。

山野辺五十鈴「自習デンマーク語文法」(大学書林) 1986年刊

タイトルは「文法」になっていますが、よい「入門書」です。
このレベルでは、下記も悪い本ではありませんが、
やや古くなっているのとドリルがありません。(著者は私の恩師のひとりです)

秦 宏一「デンマーク語の入門」(白水社) 1978年刊

そして、デンマーク語で翻訳でもしようという方は、下記、一応必携です。

岡田令子・菅原邦城・間瀬英夫「現代デンマーク語入門」(大学書林)1984年刊

「~入門」となっていますが、事実上「デンマーク語文法事典」の感があります。
この大学書林の書名の付け方のセンスはどうにかならんか。

そして、さらにマニアックにバカ丁寧に、会話もすみずみまで学びたいという
デンマーク語フェチの方に、昨年待望の大著が出ました。
ただ、独習は難しいと思いますが。(ネイティブの恋人をみつけてタラタラ勉強するにはよい)

新谷俊裕・Thomas Breck Pedersen・大辺理恵「大阪大学外国語学部 世界の言語シリーズ10 デンマーク語」2014年刊

あと、デンマーク語は、ご存知の通り、発音が???ですので、
初歩の頃に発音記号に慣れるなどの目的で、下記の本を持っていてもよいと思います。
(この叢書は、他の言語なら推薦しないのですが、間瀬先生が音声の専門家であることもあります)

間瀬英夫「デンマーク語会話練習帳」(大学書林) 1979年刊
間瀬英夫・菅原邦城「デンマーク語基礎1500語」(大学書林)1981年刊

辞書は、大学書林で、例によって「大きいだけ」のあまり意味のない丁和辞典と、
和丁の小辞典が出ていますが、後者は参考として持っていてもよいでしょう。

前者はお金が余っている人は持っていてもよいですが、
本格的に学ぼうという人は不要でしょう。
そういう人は、どのみち Danish-English Dictionary を使いこなせないと、商売になりません。

丁英、英丁の辞書としては、まず Gyldendals Roede Ordbog の赤い辞書を入手してください。


ノルウェー語のオススメ参考書について

結論から言うと、ノーチョイスで下記の本が決定版です。
下宮忠雄『ノルウェー語四週間』(大学書林)  

下宮先生渾身のライフワークのひとつと言ってよいのではないでしょうか。
ノルウェー語に対する愛情さえ伝わってきます。
この本一冊やれば他に必要
ないです。

他に、「ノルウェー語OO」というタイトルの本がチョロチョロ出ていますが、
少なくとも本格的に学習するつもりの人には引用にも値しない
(かつ、金出して
買うに値しない)ものだけです。

ただ、次の小辞典は持っていてもよいかも知れません。

森 信嘉『ノルウェー語基礎1500語』(大学書林)

辞書は、大学書林でバカでかい諾日辞典が出ていますが、
この辞書に頼って
いるようではプロにはなれませんので、
値段を考えると買わなくてよいでしょう。も
ちろんお金が余っているひとはどうぞ。

そこで、Einar Haugen 教授の 『Norwegian-English Dictionary』がどうしても
必要になるのですが、さいわいアマゾンで比較的安価に入手できるはずです。

大学書林で「和諾小辞典」が出ていますが、
参考程度の持っていてもよいかも
知れません。
もちろん、英語に自信があれば、現地のEnglish-Norwegian Dictionary
 
を使う方がよいです。

 

小稲義男『現代英文法講座2 冠詞・形容詞・副詞』(研究社 1958)

英語学の碩学によるオーソドックスな参考書。
本サイトでご紹介した一色本の改訂版ともいえる著書だが、
詳しさ、体系的まとまりのよさではむしろ一色本のほうが
優れているかもしれない。しかし、明らかによくなっているところもあり、
本格的に学ぼうとする人にはお勧めである。
 
猪浦
の評価:8点(10点満点中) 

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